InterSystems公式
· 2023年2月20日

製品リリースの新しい頻度について

インターシステムズでは、お客様のニーズにお応えし、定期的に製品リリースのポリシーを変更しています。

今回新しくメンテナンスリリースの頻度を変更しました。これにより、大切なお客様やパートナーのみなさまが製品導入の計画をたてやすくなったり、機能改善の調整をしやすくなっていただければ幸いです。

本記事では、データプラットフォーム製品のリリース頻度を改めてお伝えするとともに、最新の変更点についてご案内いたします。

なぜ変更するのか?

  • お客様に私たちの新バージョンをより早くお届けするため。
  • お客様に新しいプラットフォーム (OSバージョンや周辺技術) により早く適応いただくため。
  • 特に3rdパーティーのライブラリにおいて発生する、セキュリティ問題により頻繁に対応するため。
  • お客様からの「より正確な製品スケジュール」へのリクエストに応えるため。

私たちのリリース頻度について変わらないこと

インターシステムズでは InterSystems IRIS 2018 から、以下2つの製品ラインをリリースしてきました (オリジナル記事はこちら)。

  • CD (継続的デリバリー) リリース - 私たちの新機能をいち早くご提供します。これによりお客様のアプリケーションでは、継続的に更新しながら新機能を取り入れるような、理想的な開発と展開が可能となります。「快速列車 (fast train)」と呼ぶことがあります。
  • EM (拡張メンテナンス) リリース - CDリリースよりも頻度は下がりますが、より安定したリリースをご提供します。新機能を入手するより、メンテナンスリリースを通じて製品の修正を入手することがより大切となる、大規模なエンタープライズアプリケーションには理想的なリリースとなります。「鈍行列車 (slow train)」と呼ぶことがあります。

EMリリースは、バージョン番号が YYYY.1 となっているため、簡単に見分けがつきます (例: 2022.1、2023.1) CDリリースのバージョン番号は YYYY.2、YYYY.3 となります。

1年前にリリース頻度を更新し、CDリリースにキットを追加したり、InterSystems IRIS や InterSystems IRIS for Health 同様、HealthShare や Health Connect にもこれらのリリースサイクルを導入しました (こちらの記事もご覧ください)。CDリリースには以下3点の制限が残っています。まず、メンテナンスバージョンやセキュリティ修正はリリースされません。つぎに、Caché および Ensembleからのインプレース変換は出来ません。最後に、CDリリースからアップグレードできるのは、次のCDリリースか次のEMリリースに限定されます。

新機能のリリースは (EMリリース、CDリリースいずれも) お客様がダウンロードして新機能を試すことが出来るプレビュー段階を経て行われます。プレビュー版をお使いいただくことで、新リリースに先駆けて準備いただけます。プレビュー版は、新製品のフィードバックや、アプリケーションが新リリースで正常に動作することを確認する素晴らしい機会となります。2022.2 から、プレビュー版は2週間おきの水曜にリリースされています。

この新しいリリース頻度についてのお客様からのフィードバックは、非常に好意的なものでした。インターシステムズは、この2つの製品ラインを、高い品質を維持しながら運用してきました。

プラットフォームの更新

多くのお客様は現在、とくにクラウド環境においては、新しいOSにより早く適応されています。そこでインターシステムズはリリース頻度を変更しました。2022年から、メンテナンスリリースで新しいオペレーティングシステムを追加でサポートするようになりました。2022.1.1では Ubuntu 22.04のサポート、2022.1.2では RHEL 9 のサポートが追加されました。これにより、お客様が新しいオペレーティングシステムにいち早く適応いただけるようになりました。

セキュリティ更新は、特に OpenSSLのようなオペレーティングシステムにパッケージされた共有ライブラリでは、より頻繁に行われています。バージョン 2022.1 から、OpenSSL ライブラリは、オペレーティングシステムに同梱されたものを使用するよう変更しました。これにより、お客様がOS経由でセキュリティ更新を行うことができます。ただこれにより、Linuxオペレーティングシステムのメジャーバージョンごとに、InterSystemsの製品キットが異なるようになります。そのため EMリリースごとに、サポートするLinuxオペレーティングシステムは 2 メジャーバージョンに限定されます。新しいOSのサポートをメンテナンスリリースで追加した場合、古いOSバージョンのサポートは削除しません。このときは3種類のキットが存在する状況となり、次のEMリリースで2種類のキットに減ります。たとえば、2022.1.2 は、3種類の Red Hat キットがあります (RHEL 7、RHEL 8、RHEL 9)。 2022.1.3 も同じセットになりますが、2023.1.0 では RHEL8 と RHEL 9 のみになります。

プラットフォームの変化がスピードアップしているので、お客様に今後の予定を明確にお知らせしたいと考えています。インターシステムズは3か月ごとに「プラットフォーム・アップデート」をニュースレターとしてお伝えしてきました。このたび初めて、プラットフォーム・アップデートを開発者コミュニティで公開しました(英語)。ニュースのフォーマットや更新頻度について、ぜひフィードバックをお聞かせください。

メンテナンスバージョンとセキュリティの更新

CachéやEnsembleでのメンテナンス更新と同じく、InterSystems IRIS でも 2年間、メンテナンス更新をご提供します (ミニマムサポートバージョンをあわせてご覧ください)。メンテナンス更新に加えて、セキュリティ修正も提供しています。

関連製品やプラットフォームをひっくるめて、EMリリースの一連の更新を「ストリーム」と呼んでいます。たとえば、2021.1.0、2022.1.1、2022.1.2はひとつのストリームで、2022.1.0、2022.1.1、2022.1.2は違うストリームになります。つまりインターシステムズは、3つのストリームに対してメンテナンスバージョンを提供していることになります (InterSystems IRIS ・InterSystems IRIS for Health・Health Connect の最新EMと、1つ前のEM、そしてCaché・Ensemble の3つです - Caché・Ensemble は1つのストリームになっています)。

2023年4月から、インターシステムズはセキュリティ修正を、InterSystems IRIS の現在リリース中のバージョン ならびに 過去3年間のリリースに対して行います。Caché の最新メンテナンスリリースも同様です。つまりセキュリティ修正は、メンテナンス対象のストリームに加えて、対象外の2つのストリームに対しても行われます (合計5つのストリームが対象です)。例えば 2024年には、InterSystems はセキュリティ修正を、そのときの最新である InterSystems IRIS 2024.1.x に加えて、2023.1.x2022.1.x2021.1.x に対しても提供します。また Caché 2018.1.x にも提供します。

インターシステムズは最近、セキュリティ脆弱性の取り扱いに関するポリシーを、より多くのセキュリティ問題 - ほとんどが重要度中または低のもの - を取り扱えるように、より良く変更しました (こちらの記事もごらんください(英語))。現在は、セキュリティに関する更新をすべてのリリースで行っています。重要度高または緊急の問題の情報については、すべてのサポートストリームで修正対応されるまで、詳細は公開されません (情報が悪用されセキュリティ脆弱性をつかれる事態を防ぐためです)。対応された時点で、脆弱性の詳細をそえたセキュリティアラートを公開します。

予測しやすいメンテナンスリリース

多くのお客様から、インターシステムズ製品のソフトウェア更新が定期的に行われ、かつその入手時期を元に計画を立てたいとリクエストをいただきます。そこでインターシステムズは、メンテナンスリリースのスケジュールを以下のように正式に決定しました。

  • 最新の InterSystems IRIS ストリーム: 3ヶ月ごとにメンテナンスリリースを行う
  • 1つ前の InterSystems IRIS ストリーム: 6か月ごとにメンテナンスリリースを行う
  • Caché・Ensemble: 12カ月ごとにメンテナンスリリースを行う

InterSystems IRIS 2022.1 ストリームでは、メンテナンスリリースを 1月18日に発表しました (2022.1.2リリースアナウンスはこちら)。InterSystems IRIS 2021.1ストリーム と Caché・Ensemble 2018.1ストリームは 2月28日に発表予定です。

2023年には、1つのEMリリース (2023.1) と 2つのCDリリース (2023.2、2023.3) を予定しています。2023.1.0が 正式版 (GA) としてリリースされると、それが最新 InterSystems IRIS ストリームとなり、2022.1 が1つ前のストリームになります。

WRCから過去リリースの削除 (ICRは例外)

リリース頻度が高くなり、多くのキットがリリースされると (Linux OSメジャーバージョンごとに1つ)、WRC 製品ダウンロードページで取得できるキット数が莫大になり、お客様を混乱させることになります。そこでダウンロードページから、ストリームごとに古いキットを定期的に削除する運用をはじめています。

  • 最新のCDバージョンのみ入手できます。例えば、2022.3が正式リリースされたため、2022.2イメージは2月末に削除されます。
  • 各ストリームの最新メンテナンスバージョンのみ入手できます。例えば、2022.1.2がリリースされたので、2022.1.1は削除されました。これにより、お客様が既存のセキュリティ問題を含んだバージョンを誤ってインストールする事態を防ぐことができます。​

ご依頼があれば過去バージョンを入手いただけます。ただ、1つの共通バージョンを多くのサイトで運用されているお客様は、そのバージョンをお手元に保管いただくことをお勧めします。ファイル完全性を保証するため、全てのキットとコンテナは署名されており、チェックサムやPGP署名ファイルをWRC製品ダウンロードページから入手いただけます。

ただし、InterSystemsコンテナレポジトリ (ICR) については状況が異なります。それは、CI/CDパイプラインでは、お客様が特定のバージョンを使うケースが多いからです。ICR では、2年以上経過するまでは古いイメージを削除しません。インターシステムズは、お客様が現在のCI/CDパイプラインをお使いいただくことをお勧めします。またお客様からも、そのように運用するとフィードバックをいただいています。

お客様の成功に全力を尽くします

上記でお伝えした変更は全て、お客様の成功をお手伝いさしあげるために行ったものです。インターシステムズは、お客様からいただいたセキュリティ、プラットフォームへの適応、メンテナンス更新、リリース頻度に関するご心配をお聞きし、いただいたフィードバックをもとに運用ルールを変更しています。ご意見やご提案がございましたら、遠慮なくインターシステムズにお寄せくださいませ。

@Jeff Friedさんが書いた元の記事へ
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