記事
Toshihiko Minamoto · 2021年6月15日 11m read

MonCaché - MongoDB としての Caché

MonCaché — InterSystems Caché での MongoDB API 実装

免責事項:この記事は筆者の私見を反映したものであり、InterSystemsの公式見解とは関係ありません。

構想

プロジェクトの構想は、クライアント側のコードを変更せずに MongoDB の代わりに InterSystems Caché を使用できるように、ドキュメントを検索、保存、更新、および削除するための基本的な MongoDB(v2.4.9) API 機能を実装するところにあります。

動機

おそらく、MongoDB に基づくインターフェースを使って、データストレージに InterSystems Caché を使用すると、パフォーマンスが向上するのではないか。 このプロジェクトは、学士号を取得するための研究プロジェクトとして始まりました。

ダメなわけないよね?! ¯\_(ツ)_/¯

制限

この研究プロジェクトを進める過程で、いくつかの簡略化が行われました。

  • プリミティブ型のデータのみを使用する: nullbooleannumberstringarrayobjectObjectId
  • クライアント側のコードは MongoDB ドライバーを使って MongoDB と連携する。
  • クライアント側のコードでは、MongoDB Node.js ドライバーを使用する。
  • クライアント側のコードでは、MongoDB API の基本的な機能のみを使用する:
    • findfindOne — ドキュメントの検索
    • saveinsert — ドキュメントの保存
    • update — ドキュメントの更新
    • remove — ドキュメントの削除
    • count — ドキュメント数のカウント

実装

タスクは最終的に次のサブタスクに分割されました。

  • 選択した基本機能ように、MongoDB Node.js ドライバーのインターフェースを再作成する。
  • このインターフェースを InterSystems Caché を使用してデータストレージ用に実装する。
    • Caché でデータベースの表現スキームを設計する。
    • Caché でコレクションの表現スキームを設計する。
    • Caché でドキュメントの表現スキームを設計する。
    • Node.js を使って Caché と対話するためのスキームを設計する。
    • 設計したスキームを実装して、少しテストする。 :)

実装の詳細

最初のサブタスクは問題ではなかったので、中間の説明を省略して、インターフェースの実装部分を説明します。

MongoDB は、データベースをコレクションの物理的なコンテナとして定義します。 コレクションはドキュメントのセットで、ドキュメントはデータのセットです。 ドキュメントは JSON ドキュメントのようですが、大量の許容型を持っています。つまり BSON です。

InterSystems Caché では、すべてのデータはグローバルに保存されます。 簡単に言えば、階層データ構造として考えることができます。

このプロジェクトでは、すべてのデータは単一のグローバル(^MonCache )に保存されます。

そのため、階層データ構造を使用して、データベース、コレクション、およびドキュメントの表現スキームを設計する必要があります。

Caché におけるデータベースの表現スキーム

実装したグローバルレイアウトは、数多くの潜在的なレイアウトの 1 つに過ぎず、これらのレイアウトには、それぞれにメリットと制限があります。

MongoDB では、1 つのインスタンスに複数のデータベースが存在する可能性があるため、複数の分離されたデータベースを格納できるようにする表現スキームを設計する必要があります。 MongoDB はコレクションをまったく含まないデータベースをサポートしていることに注意しておきましょう(これらを「空」のデータベースと呼ぶことにします)。

私はこの問題に対し、一番単純で一番明白なソリューションを選択しました。 データベースは、^MonCache グローバルの第 1 レベルノードとして表されます。 さらに、そのようなノードは、「空」のデータベースのサポートを有効にするために ”” 値を取得します。 問題は、これを行わずに子ノードを追加するだけの場合、それらを削除すると親ノードも削除されるということです(これがグローバルの動作です)。

したがって、各データベースは Caché 内で次のように表されます。

^MonCache(<db>) = ""

たとえば、「my_database」データベースの表現は次のようになります。

^MonCache("my_database") = ""

Caché におけるコレクションの表現スキーム

MongoDB は、コレクションをデータベースの要素として定義します。 単一のデータベース内にあるすべてのコレクションには、正確なコレクションの識別に使用できる一意の名前があります。 このことが、グローバルでコレクションを表現する単純な方法を見つけ、第 2 レベルのノードを使用する上で役立ちました。 次に、2 つの小さな問題を解決する必要があります。 1 つ目の問題は、コレクションがデータベースと同じように空であることができるということです。 2 つ目は、コレクションが一連のドキュメントであるということです。 そして、これらのドキュメントはすべて、互いに分離している必要があります。 正直なところ、コレクションノードの値として自動的に増分する値のようなカウンターを使う以外に良いアイデアが浮かびませんでした。 すべてのドキュメントには一意の番号があります。 新しいドキュメントが挿入されると、現在のカウンターの値と同じ名前が付いた新しいノードが作成され、カウンターの値が 1 つ増加するというアイデアです。

したがって、各 Caché コレクションは、次のように表されます。

^MonCache(<db>) = ""
^MonCache(<db>, <collection>) = 0

たとえば、「 my_database」データベース内の「my_collection」コレクションは次のように表されます。

^MonCache("my_database") = ""
^MonCache("my_database", "my_collection") = 0

Caché におけるドキュメントの表現スキーム

このプロジェクトでは、ドキュメントは追加の ObjectID という型で拡張された JSON ドキュメントです。 ドキュメントの表現スキームは、階層データ構造で設計する必要がありました。 いくつかの驚きに遭遇したのはここです。 まず、Caché では「ネイティブ」の null がサポートされていなかったために、使用できなかったことです。 もう 1 つは、ブール値が 0 と 1 の定数で実装されているということです。 つまり、1 が true で 0 が false ということなのです。 一番予想していた問題は、ObjectId を格納する方法を考え出す必要があるということでした。 結局、これらの問題はすべて最も簡単な方法でうまく解決されたのです。というか、解決されたと思いました。 以下では、各データ型とその表現について説明します。

Caché のインタラクションスキーム

Node.js ドライバーの選択は、InterSystems Caché と連携する上で論理的かつ単純な決定であるように思われました(ドキュメントサイトには、Caché と対話するためのドライバーがほかにも掲載されています)。 ただし、ドライバーの機能では不十分です。 私が行いたかったのは、1 回のトランザクションで複数の挿入を実行することだったので、 Caché 側で MongoDB API をエミュレートするために使用される一連の Caché ObjectScript クラスを開発することにしました。

Caché Node.js ドライバーは、Caché クラスにアクセスできませんでしたが、Caché からプロフラム呼び出しを行うことができました。 このことから、小さなツールが作成されました。ドライバーと Caché クラスを繋ぐ、一種のブリッジです。

結局、スキームは次のようになりました。

プロジェクトの作業を進めながら、NSNJSON(Not So Normal JSON: あんまり普通じゃない JSON)と名付けた、ドライバーを介して ObjectId、null、true、および false を Caché に「密輸」する特別な形式を作成しました。 この形式の詳細については、GitHub の対応するページ(NSNJSON)をご覧ください。

MONCACHÉ の機能

ドキュメント検索には、次の基準を使用できます。

  • $eq — 等号
  • $ne — 不等号
  • $not — 否定
  • $lt — より小さい(未満)
  • $gt — より大きい
  • $exists — 有無、存在

ドキュメントの更新操作には、次の演算子を使用できます。

  • $set — 値の設定
  • $inc — 指定された数による増分
  • $mul — 指定された数による乗算
  • $unset — 値の削除
  • $rename — 値の名前変更

以下のコードは、私がドライバーの公式ページから取得して少し修正したコードです。

var insertDocuments = function(db, callback) {
 var collection = db.collection('documents');
 collection.insertOne({ site: 'Habrahabr.ru', topic: 276391 }, function(err, result) {
     assert.equal(err, null);
     console.log("Inserted 1 document into the document collection");
     callback(result);
 });
}
var MongoClient = require('mongodb').MongoClient
  , assert = require('assert');
var url = 'mongodb://localhost:27017/myproject';
MongoClient.connect(url, function(err, db) {
    assert.equal(null, err);
    console.log("Successfully connected to the server");
    insertDocument(db, function() {
         db.close();
     });
});

このコードは、MonCaché と互換性を持つように簡単に変更することができます。

ドライバーを変更するだけです!

// var MongoClient = require('mongodb').MongoClient
var MongoClient = require('moncache-driver').MongoClient

このコードが実行されると、^MonCache グローバルは次のようになります。

^MonCache("myproject","documents")=1
^MonCache("myproject","documents",1,"_id","t")="objectid"
^MonCache("myproject","documents",1,"_id","v")="b18cd934860c8b26be50ba34"
^MonCache("myproject","documents",1,"site","t")="string"
^MonCache("myproject","documents",1,"site","v")="Habrahabr.ru"
^MonCache("myproject","documents",1,"topic","t")="number"
^MonCache("myproject","documents",1,"topic","v")=267391

デモ

ほかのすべてとは別に、小型のデモアプリケーションソースコード)を公開しました。また、サーバーの再起動とソースコードの変更を行わないで、MongoDB Node.js から MonCaché Node.js へのドライバーの変更を実演するために、Node.js を使って実装しました。 アプリケーションは、CRUD 演算を製品やオフィスで実行するための小さなツールであり、構成を変更(ドライバーを変更)するためのインア―フェースでもあります。

サーバーでは、構成で選択されたストレージ(Caché または MongoDB)に保存される製品オフィスを作成できます。

Orders]タブには、注文のリストが含まれています。 レコードは作成されていますが、フォームは未完成です。 プロジェクトの援護を歓迎しています(ソースコード)。

構成は、Configuration ページで変更できます。 このページには、MongoDB と MonCache の 2 つのボタンがあります。 対応するボタンをクリックすると、希望する構成を選択できます。 構成が変更されると、クライアントアプリケーションはデータソースに再接続します(実際に使用されているドライバーからアプリケーションを分離する概念)。

まとめ

結論を出すために、根本的な質問に答えさせてください。 そうです! 基本的な操作におけるパフォーマンスを向上させることができました。

MonCaché プロジェクトは GitHub に公開されており、MIT ラインセンスの下に提供されています。

簡易マニュアル

  • Caché のインストール
  • 必要な MonCaché コンポーネントを Caché に読み込む
  • Caché で MONCACHE 領域を作成する
  • Caché で、ユーザー名が「moncache」でパスワードが「ehcacnom」(moncache」の逆)のユーザーを作成する
  • 環境変数 MONCACHE_USERNAME = moncache を作成する
  • 環境変数 MONCACHE_PASSWORD = ehcacnom を作成する
  • 環境変数 MONCACHE_NAMESPACE = MONCACHE を作成する
  • プロジェクトで、依存関係を 'mongodb' から 'moncache-driver' に変更する
  • プロジェクトを始動! :-)

InterSystems 教育プログラム

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