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インターシステムズジャパン
記事 Toshihiko Minamoto · 10月 12, 2021 11m read

InterSystems IRISでマクロを使用したロギングシステム

前の記事では、マクロの潜在的なユースケースををレビューしました。そこで、マクロの使用方法についてより包括的な例を見てみることにしましょう。 この記事では、ロギングシステムを設計して構築します。

ロギングシステム

ロギングシステムは、アプリケーションの作業を監視するための便利なツールで、デバッグや監視にかける時間を大幅に節約してくれます。 これから構築するシステムは2つの部分で構成されます。

  • ストレージクラス(レコードをログ記録するためのクラス)
  • 新しいレコードをログに自動的に追加する一連のマクロ

ストレージクラス

保存する必要のあるもののテーブルを作成し、コンパイル中やランタイム時に、このデータを取得できるタイミングを指定しましょう。 これは、システムの2つ目の部分であるマクロで作業するときに必要となります。そこでは、コンパイル中にできるだけ多くの記録可能な詳細を取得することを目指します。

情報 取得タイミング
イベントタイプ
コンパイル
クラス名
コンパイル
メソッド名
コンパイル
メソッドに渡される引数
コンパイル
clsソースコードの行番号
ランタイム
生成されたintコードの行番号
ランタイム
ユーザー名
ランタイム
日付/時刻
ランタイム
メッセージ
ランタイム
IPアドレス
ランタイム

上記のテーブルのプロパティを含むApp.Logクラスを作成しましょう。 App.Logオブジェクトが作成されると、ユーザー名、日付/時刻、およびIPアドレスプロパティは、自動的に入力されます。

App.Logクラス:

Class App.Log Extends %Persistent
{

/// イベントのタイプ Property EventType As %String(MAXLEN = 10, VALUELIST = ",NONE,FATAL,ERROR,WARN,INFO,STAT,DEBUG,RAW") [ InitialExpression = "INFO" ];

/// クラスの名前、イベントが起きた場所 Property ClassName As %Dictionary.Classname(MAXLEN = 256);

/// メソッドの名前、イベントが起きた場所 Property MethodName As %String(MAXLEN = 128);

/// intコードの行 Property Source As %String(MAXLEN = 2000);

/// clsコードの行 Property SourceCLS As %String(MAXLEN = 2000);

/// Cacheユーザー Property UserName As %String(MAXLEN = 128) [ InitialExpression = {$username} ];

/// メソッドに渡された引数の値 Property Arguments As %String(MAXLEN = 32000, TRUNCATE = 1);

/// 日付と時刻 Property TimeStamp As %TimeStamp [ InitialExpression = {$zdt($h, 3, 1)} ];

/// ユーザーメッセージ Property Message As %String(MAXLEN = 32000, TRUNCATE = 1);

/// ユーザーのIPアドレス Property ClientIPAddress As %String(MAXLEN = 32) [ InitialExpression = {..GetClientAddress()} ];

/// ユーザーIPアドレスの特定 ClassMethod GetClientAddress() { // %CSP.Session source is preferable #dim %request As %CSP.Request If ($d(%request)) { Return %request.CgiEnvs("REMOTE_ADDR") } Return $system.Process.ClientIPAddress() } }

 

ロギングマクロ

通常、マクロは、その定義を含む個別の *.incファイルに保存されます。 必要なファイルは、Include MacroFileNameコマンドを使って、クラスに含めることができます。この場合、Include App.LogMacroとなります。
 
初めに、ユーザーがアプリケーションコードに追加するメインのマクロを定義しましょう。

#define LogEvent(%type, %message) Do ##class(App.Log).AddRecord($$$CurrentClass, $$$CurrentMethod, $$$StackPlace, %type, $$$MethodArguments, %message)

このマクロは、イベントタイプとメッセージの2つの入力引数を受け入れます。 メッセージ引数はユーザーが定義しますが、イベントタイプパラメーターには、イベントタイプを自動的に識別する、別の名前による追加のマクロが必要となります。

#define LogNone(%message)         $$$LogEvent("NONE", %message)
#define LogError(%message)        $$$LogEvent("ERROR", %message)
#define LogFatal(%message)        $$$LogEvent("FATAL", %message)
#define LogWarn(%message)         $$$LogEvent("WARN", %message)
#define LogInfo(%message)         $$$LogEvent("INFO", %message)
#define LogStat(%message)         $$$LogEvent("STAT", %message)
#define LogDebug(%message)        $$$LogEvent("DEBUG", %message)
#define LogRaw(%message)          $$$LogEvent("RAW", %message)

したがって、ロギングを実行するには、ユーザーはアプリケーションコードに$$$LogError("Additional message")のみを配置するだけで済みます。
後は、$$$CurrentClass$$$CurrentMethod$$$StackPlace$$$MethodArgumentsマクロを定義するのみです。 では、最初の3つから始めましょう。

#define CurrentClass     ##Expression($$$quote(%classname))
#define CurrentMethod    ##Expression($$$quote(%methodname))
#define StackPlace       $st($st(-1),"PLACE")

%classname%methodname変数は、ドキュメントに記載されています。 $stack関数はINTコードの行番号を返します。 これをCLS行番号に変換するには、このコードを使用できます。

%Dictionaryパッケージを使用して、メソッド引数とその値のリストを取得しましょう。 これにはメソッドの説明を含む。クラスに関するすべての情報が含まれています。 特に関心があるのは%Dictionary.CompiledMethodクラスとFormalSpecParsedプロパティで、これはリストです。

$lb($lb("Name","Classs","Type(Output/ByRef)","Default value "),...)

これはメソッドのシグネチャに対応しています。 たとえば次のコードがあるとします。

ClassMethod Test(a As %Integer = 1, ByRef b = 2, Output c)

このコードには、次のFormalSpecParsed値があります。

$lb(
$lb("a","%Library.Integer","","1"),
$lb("b","%Library.String","&","2"),
$lb("c","%Library.String","*",""))

$$$MethodArgumentsマクロを次のコードに展開する必要があります(Testメソッド)。

"a="$g(a,"Null")"; b="$g(b,"Null")"; c="$g(c,"Null")";"

これを行うには、コンパイル中に次のことを行う必要があります。

  • クラス名とメソッド名を取得する
  • %Dictionary.CompiledMethodクラスの対応するインスタンスを開いて、そのFormalSpecプロパティを取得する
  • それをソースコード行に変換する
  • 対応するメソッドをApp.Logクラスに追加しましょう。

    ClassMethod GetMethodArguments(ClassName As %String, MethodName As %String) As %String
    {
    Set list = ..GetMethodArgumentsList(ClassName,MethodName)
    Set string = ..ArgumentsListToString(list)
    Return string
    }
    

    ClassMethod GetMethodArgumentsList(ClassName As %String, MethodName As %String) As %List { Set result = "" Set def = ##class(%Dictionary.CompiledMethod).%OpenId(ClassName _ "||" _ MethodName) If ($IsObject(def)) { Set result = def.FormalSpecParsed } Return result }

    ClassMethod ArgumentsListToString(List As %List) As %String { Set result = "" For i=1:1:$ll(List) { Set result = result _ $$$quote($s(i>1=0:"",1:"; ") _ $lg($lg(List,i))"=") _ "$g(" _ $lg($lg(List,i)) _ ","$$$quote(..#Null)")_" _$s(i=$ll(List)=0:"",1:$$$quote(";")) } Return result }

    次に$$$MethodArgumentsマクロを以下のように定義しましょう。

    #define MethodArguments ##Expression(##class(App.Log).GetMethodArguments(%classname,%methodname))

    ユースケース

    それでは、ロギングシステムの機能を示すために、Testメソッドを使ってApp.Useクラスを作成しましょう。

    Include App.LogMacro
    Class App.Use [ CompileAfter = App.Log ]
    {
    /// Do ##class(App.Use).Test()
    ClassMethod Test(a As %Integer = 1, ByRef b = 2)
    {
    $$$LogWarn("Text")
    }
    }

    上記の結果、intコードの$$LogWarn("Text")マクロは次の行に変換されます。

    Do ##class(App.Log).AddRecord("App.Use","Test",$st($st(-1),"PLACE"),"WARN","a="$g(a,"Null")"; b="$g(b,"Null")";", "Text")

    このコードを実行すると、新しいApp.Logレコードが作成されます。

    改善点

    ロギングシステムを作成したところで、次のような改善のアイデアがあります。

  • まず、オブジェクト型引数を処理するようにすることができます。現在の実装では、オブジェクトorefしか記録しないためです。
  • 次に、呼び出しで、保存された引数値からメソッドのコンテキストを復元するようにできます。
  • オブジェクト型引数の処理

    引数の値をログに入れる行は、ArgumentsListToStringメソッドに生成され、次のようになります。

    "$g(" _ $lg($lg(List,i)) _ ","$$$quote(..#Null)")"

    リファクタリングを行って、それを、変数名とクラス(FormalSpecParsedから知ることができます)を受け入れる別のGetArgumentValueメソッドに移動し、変数を行に変換するコードを出力してみましょう。 データ型には既存のコードを使用し、オブジェクトは、SerializeObject(ユーザーコードから呼び出すため)とWriteJSONFromObject(オブジェクトをJSONに変換するため)メソッドを使ってJSONに変換されます。

    ClassMethod GetArgumentValue(Name As %String, ClassName As %Dictionary.CacheClassname) As %String
    {
    If $ClassMethod(ClassName, "%Extends", "%RegisteredObject") {
    // オブジェクトです
    Return "##class(App.Log).SerializeObject("Name _ ")"
    } Else {
    // データ型です
    Return "$g(" _ Name _ ","$$$quote(..#Null)")_"
    }
    }
    

    ClassMethod SerializeObject(Object) As %String { Return:'$IsObject(Object) Object Return ..WriteJSONFromObject(Object) }

    ClassMethod WriteJSONFromObject(Object) As %String [ ProcedureBlock = 0 ] { Set OldIORedirected = ##class(%Device).ReDirectIO() Set OldMnemonic = ##class(%Device).GetMnemonicRoutine() Set OldIO = $io Try { Set Str=""

        //IOを現在のルーチンにリダイレクト。以下に定義するラベルを利用。
        Use $io::("^"_$ZNAME)
    
        //リダイレクトを有効にします
        Do ##class(%Device).ReDirectIO(1)
    
        Do ##class(%ZEN.Auxiliary.jsonProvider).%ObjectToJSON(Object)
    } Catch Ex {
        Set Str = ""
    }
    
    //元のリダイレクト/ニューモニックルーチンの設定に戻ります
    If (OldMnemonic '= "") {
        Use OldIO::("^"_OldMnemonic)
    } Else {
        Use OldIO
    }
    Do ##class(%Device).ReDirectIO(OldIORedirected)
    
    Quit Str
    
    // IOリダイレクトが可能なラベル
    // 文字の読み取り。読み取りは重要ではありません
    

    rchr(c) Quit // 文字列の読み取り。読み取りは重要ではありません rstr(sz,to) Quit // 文字の書き込み。出力ラベルを呼び出します wchr(s) Do output($char(s)) Quit // フォームフィードの書き込み。出力ラベルを呼び出します wff() Do output($char(12)) Quit // 改行の書き込み。出力ラベルを呼び出します wnl() Do output($char(13,10)) Quit // 文字列の書き込み。出力ラベルを呼び出します wstr(s) Do output(s) Quit // タブの書き込み。出力ラベルを呼び出します wtab(s) Do output($char(9)) Quit // 出力ラベル。ここで、実際に行いたいことを処理します。 // ここではStrに書き込みます output(s) Set Str = Str_s Quit }

    オブジェクト型引数のログエントリは次のようになります。

    コンテキストの復元

    このメソッドの主旨は、すべての引数を現在のコンテキストで(主にデバッグ用のターミナルで)使用できるようにすることです。 これを行うために、ProcedureBlockメソッドパラメーターを使用することができます。 0に設定すると、そのようなメソッドに宣言されたすべての変数はメソッドを終了してもそのまま使用することができます。 ここでのメソッドは、App.Logクラスのオブジェクトを開いて、Argumentsプロパティを逆シリアル化します。

    ClassMethod LoadContext(Id) As %Status [ ProcedureBlock = 0 ]
    {
    Return:'..%ExistsId(Id) $$$OK
    Set Obj = ..%OpenId(Id)
    Set Arguments = Obj.Arguments
    Set List = ..GetMethodArgumentsList(Obj.ClassName,Obj.MethodName)
    For i=1:1:$Length(Arguments,";")-1 {
    Set Argument = $Piece(Arguments,";",i)
    Set @$lg($lg(List,i)) = ..DeserializeObject($Piece(Argument,"=",2),$lg($lg(List,i),2))
    }
    Kill Obj,Arguments,Argument,i,Id,List
    }
    

    ClassMethod DeserializeObject(String, ClassName) As %String { If $ClassMethod(ClassName, "%Extends", "%RegisteredObject") { // オブジェクトです Set st = ##class(%ZEN.Auxiliary.jsonProvider).%ConvertJSONToObject(String,,.obj) Return:$$$ISOK(st) obj } Return String }

    ターミナルでは次のように表示されます。

    zw do ##class(App.Log).LoadContext(2) zw

    a=1 b=<OBJECT REFERENCE> [2@%ZEN.proxyObject]

    zw b b=<OBJECT REFERENCE> [2@%ZEN.proxyObject] +----------------- general information --------------- | oref value: 2 | class name: %ZEN.proxyObject | reference count: 2 +----------------- attribute values ------------------ | %changed = 1 | %data("prop1") = 123 | %data("prop2") = "abc" | %index = ""

    この続きは?

    鍵となる潜在的な改善点は、メソッド内に作成された任意の変数リストを使用して、ログクラスに別の引数を追加することです。

    まとめ

    マクロはアプリケーション開発に非常に役立ちます。

    質問

    コンパイル中に行番号を取得する方法はありますか?

    リンク